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#友達と字を練習した日

  • 執筆者の写真: toshiki tobo
    toshiki tobo
  • 2021年8月14日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年8月16日

今日、拓真にあった。

前にあったのは2年前の5月。

その前は成人式のとき。


すごく仲がいいってわけではない。

時々会いたくなるヤツだ。


拓真は高校の同級生。

一度も同じクラスになったことはない。

だけども仲良くなった。


高校1年生の頃、どちらかと言うと嫌いだった。

顔も動作も何もかも「うるさい」と感じたからだ。

でも、友達になった。

不思議なものだ。


憎たらしくも優秀だった彼は

国立大学の農学部に進んだ。

実家がぶどう農家だったからだ。

今も研究職として農業に携わる仕事をしている。

素晴らしいことだね。


時折SNSにあげるぶどう畑の投稿を見て

僕も農業を感じてみたくなり、

久々に連絡をしたことが再会のきっかけになった。


彼はよく喋る。

僕もよく喋るが彼もよく喋る。

学生時代は嫌味なやつだったが、

嫌味がろ過されて楽しいおしゃべりな人になっていた。

そもそもはとても優しい、人思いのヤツだ。


僕らは汗っかきで、

街中を涼しげに歩く人々とは裏腹に

雨風も相まってぐしょぐしょな1日を過ごした。

そんな身なりで、ちょっといいハンバーガーを食べだ後、

ケーキを食べに行った。


書道の話になった。

拓真が思いのほか興味を持ってくれた。

社交辞令だったとしても嬉しい。


机にあったナプキンとボールペンで字を練習した。

名前とか住所とか。

あれこれ話しながらナプキンいっぱいに文字を練習した。

そしたら拓真の字が見違えるように上手になった。


「小一時間でこんなに上達を感じられるのは文字ぐらいかもしれない」

なんて言ってくれた。


そうそう、そうなんだよね。

文字って練習すればするだけ上手になる。

努力が目に見えて分かるようになるんだ。


アレコレと教えるというか「伝える」のは

とっても楽しかった。

念願の書道の先生になったみたいだった。


紙とペンさえあればいくらでも楽しめる。

それが文字の素晴らしいところかもしれないね。


今日も遊びに来てくれてありがとう。

拓真は折り畳み傘を壊してやってきた。

中棒部分が縮まらなくなってしまったようだ。

集団下校の班長旗みたいにリュックサックに差し込んでいた。

後姿が愛くるしかった。

一生正面を向かないでほしかった。

それでは、また明日。


お粗末様でございました。




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