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#夏の日のこと

  • 執筆者の写真: toshiki tobo
    toshiki tobo
  • 2023年8月1日
  • 読了時間: 2分

アイスはスーパーカップが好きです。小さな頃から好きというわけでもありませんし、アイスがとりわけて好きというわけでもありません。お店でいただくようなアイスも好きですが、僕の中では別物で、やっぱりアイスといえばスーパーカップです。いつからかそうなっていました。はじまりはわかりません。


カレーも同じで、インドカレーも家で食べるバーモンドカレーもレストランで食べる欧風カレーもどれも大好きですが、僕にとってのカレーは家で食べるバーモンドカレーなのです。これも、はじまりはわかりません。


先日の通勤中のことです。スーツ姿のサラリーマンのおじさんが、ガリガリくんにかぶりつきながらコンビニから出てくるのを目にしました。あ、いいな、と考える間もなくそう思いました。あの人にとってのアイスはガリガリくんなのかな、などと頭の中でちょっとした妄想を広げたり、広げなかったりなどをし、雲ひとつない空にそっとその妄想を手放しました。


その日の帰り、電車の中でのことです。いつものように車両の一番端、接続部の横に立っていたときのことです。盲導犬を連れた男性が僕の横へやってきました。盲導犬は男性の指示に従い床にくた〜と伏せをしました。その、くた〜、という姿と表情が何とも気持ちよさそうで、でも不安そうで、相反する2つのものをその様子から感じました。男性はどこまでみえているのか、この盲導犬との距離はどのくらいか、などまたもや有益でも無益でもない妄想を中途半端に膨らませていました。堂々巡りの結果、きっとこの1人と1匹の関係はそれ以上でもそれ以下でもないものなんだろうな、と当たり前のことを思っては、少しだけあいた車窓の隙間からその妄想をふっと手放しました。


着地点のないことばかりを頭にふわっと浮かべては、ポンっと弾いてを繰り返しているだけかと思っていたら、コレはこう、アレはこう、などと地に足をつけてどっしり根を張ったものもあるのだなと感じたりしたのでした。


蝉時雨降りやまぬ夏空は、時間の流れがゆったりと感じます。額の汗を拭いながら、今日もそんな空を見上げては、視線を前に戻すのでした。



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