虫眼鏡の焦点
- toshiki tobo
- 2021年1月27日
- 読了時間: 1分
小さなころ虫眼鏡でアリを殺した。
黒いものに焦点を当てると燃える。
足元を動き回るアリは恰好の的だった。
ただ夢中になって虫眼鏡を向けていた。
子供は死に対してどうしようもなく
心を惹かれることがある。
死を間近に感じたいと思うのかもしれない。
死は不気味で怖いものである以上に
何もわからない「知りたい」存在だった。
今はどうだろう。
死を嫌煙するようになった。
小さなころより身近な存在になったからかもしれない。
通勤電車の遅延。夜のニュース。
救急車のサイレン。
少しずつ分かるようになってきたのかもしれない。
だから、決して近づきたくはない。
命がなくなることはとても悲しいことだ。
でも命は時にとてもあさっさりなくなってしまう。
でも、僕たちはとても残酷なことを
無意識にしてしまう。
それもとても無邪気な気持ちで。
今僕の目はどこを見つめているのだろうか。
その視線の先に何がいるのだろう。
誰かがいるのだろうか。
誰かを苦しめていないだろうか。
思い切って目を閉じてみる。
一休みしてみる。
何も見ない。誰も見ない。
とにかく目を閉じてみる。
目をあげたら眩いばかりの
輝きで溢れていてほしい。
毎日がそうあってほしい。
お粗末様でございました。

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