#裏切らないこと
- toshiki tobo
- 2021年8月28日
- 読了時間: 2分
高校2年生から個人塾に通っていた。
マンツーマンレッスンの個人塾ではなく、
先生が個人で運営しているタイプの個人塾。
その先生がいい意味で変わっている人だった。
達観しているというか、悟っているというか、
そんな感じの雰囲気を纏っていた。
歳は僕世代の親よりも少しばかり上くらいだろうか。
女性の先生だった。
先生は学生時代、美学を専攻にしていたと聞いた。
それゆえに、なんてことない質問も少し哲学的に答えてくれた。
「美学なんて何の役にも立たないわよ。だけど、好きだったんだからしょうがないわよね」
そう言っていた。
ある日先生に、
「裏切られるより裏切る方が辛いわよ」
と言われた。
今でもはっきり脳裏に焼き付いている。
大学生の頃から人と距離を取ることが増えた。
嫌なことから逃げたかったんだと思う。
裏切られるのが怖かったし、
自分が誰かを裏切るような気もしていた。
結果として今、嫌な思いを引きずったり思い出すことがないから、
誰かを裏切ることはなかったんだと思う。
裏切られたことはあったけど、
そんなのなんてことないと思えるところまで濃度は下がった。
今僕には家族以外に大切な人が、
片手から両手の指の数ほどいる。
手を見ると指人形みたいにその人たちの顔が浮かぶ。
大切なんだと思う。
絶対に傷つけたくない人たちだ。
裏切られるかもしれないと思うことが
裏切ってるのではないかとも感じてしまう。
そう考えることすら辛い。
だから、もし仮に裏切ってしまったとしたら、
言葉にならないくらい苦しくて辛いんだと思う。
たとえ裏切られたとしても僕は構わない。
許さないかもしれない。
でも決して裏切ることはしたくないと思う。
今日も遊びに来てくれてありがとう。
ときには許さないことも大切で、
そうすることで自分の心を安らげることもできる。
裏切るということは贖罪を背負って生きることかもしれない。
そんな人生は誰も幸せにならない。
それでは、また明日。
お粗末様でございました。

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