top of page

記憶と匂い

  • 執筆者の写真: toshiki tobo
    toshiki tobo
  • 2021年2月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年2月28日

ちょっと前、大学の後輩がインスタのストーリーズで

探してももう見つからない匂いがあるとうようなことを

言っていた。


その子は香水のことを言っていた。

決して高い香水ではなかったけど

とにかく好きで、でも廃盤になってしまって

もう手に入れることはできないということだった。


探してももう見つからない。

ああ、とてもよくわかる。


これでもない、あれでもない。

でも確かにあの香りは存在していた。

でも見つからない。


毎日の生活のなかで同じようなことが

たくさんあるなと思った。


今日、半額セールとのことで新大久保の書道用品店に行った。

最近大人気の新大久保の街だが、あの街はなんだか苦手で、

店に着くまでいつもちょっと憂鬱な気分になる。


道が狭いし、人も多い。

歩道はゴミが多いし、歩く人はスマホをいじりながら、

のそのそと歩行している。


でも、ただ苦手なだけではない。

後ろ髪を引かれるような懐かしい匂いがするのが

なんとも苦手なのだ。


新大久保は言わずと知れたコリアンタウンだ。

でも最近はそれだけではなくインド、ベトナム、ネパール、

もちろんチャイナの人たちでいっぱいだ。


だから怪しい商品や「なんだこれは?」

と思うような野菜をを売っている店がいくつもある。


そのひとつからとても懐かしい匂いがする店がある。

パリの隅、メトロ13番線のガブリエルペリの駅の外の匂い。


まるでアナザースカイみたいだ。

いい字ずら。すこしイラっともする。

続きの話もとりあえず聞いてほしい。


パリはパリなのだが、そこは皆がよくいうパリではなく

外国人街である。


なぜそこを思い出すのかというと、

そこにはパリに行くたびにいつも遊びに行っていた

思い出深い日本人ドミトリーがあったからだ。


お金のないバックパッカーや学生のたまり場だった。

行けば必ず長期滞在している誰かがいて相手をしてくれた。


激安ドミトリーで、一泊2000円ほどで朝食もついてくる。

一部屋に二段ベッドが3つあって、それが3部屋。

すごく楽しくみんなでパリの街を歩き回ったのを覚えている。


そこで出会ったバックパッカーと違う国で会う約束をして

一緒に旅行をしたりもした。

思い出深い場所だ。確か名前は「ドリームハウス」。


そういう街なわけで、街にはアジアンマーケットやら

黒人やインド系の人の店も多かった。


新大久保を歩いているとあの時の記憶を強く思い出す。

本当に楽しかったし、今では信じられないぐらい

当時は心が軽かった。また戻りたいと何度も思う。


匂いは記憶を呼び覚まし、遠くの思い出も

つい昨日のことのように引き戻してしまう。

まるで魔法だ。


あの時会ったみんなは今も変わらず元気だろうか。

そんなこともふと思った今日であった。


みんなの匂いの記憶も聞いてみたい。


写真は2015年ルーブル美術館。

ドリームハウスで会ったしょうこさんと。

たしか服飾の学校に通っていたような。


お粗末様でございました。



Comentários


bottom of page