top of page

#高3の夏休み

  • 執筆者の写真: toshiki tobo
    toshiki tobo
  • 2021年5月8日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年5月9日

高3の夏休み、人のいない学校で

友達と英単語を覚えていた。


夏の終わり、入道雲のある空。

西日の差す教室で、汗をにじませながら

僕たちは机に向かっていた。

互いに単語を出し合って、答え合わせして。


集中力はこれっぽっちもなくて

暑さにただただグダついていた。


僕にもあった青春のひとかけら。

懐かしい思い出。


そんな高3の夏休みが再び動き出した。

当時と違うのは、ここが東京だということ。

なんだか大人になってしまったみたいだね。


今日の答え合わせは思い出だった。

結構間違えが多くて意外なことも多かった。

とても良い時間だった。


違いはそれだけではなかった。

彼の薬指には光るものがあった。

4年ぶりに再会した彼は夫になっていた。

びっくりだ!おめでとう。

都内の大学へ進学した彼は地元で就職をしたと聞いていたが

転職を機に再び東京へ戻ってきたという。

嬉しい!ありがとう。


話を聞けば聞くほど嬉しいことは多くて、

職場も近く、働いている業界も同じ、

食べたかったものもビンゴしていた。


でも彼はしっかり変わっていた。

彼はずっと強くなっていた。強い優しさ。

その優しさはうんと凛としていた。


人の良いところを見つけるのが上手な彼は

僕の記憶を修正してくれた。

決して間違いとは言わず、

うまい具合に上方修正してくれたのだ。


それが人に関わる記憶であった時、

「ああ、今度はうまくやれるかも」

そう希望を持たせてくれるような導き方だった。


カレーを食べ、神社で参拝し、

おいしいプリンを求め歩いた。

小出しに聞いた新婚話に心を弾ませながら

新しい枕を探しにも行った。


場所もすることも違ったけれど、

それは僕らの高3の夏休みだった。


調整を忘れた大声で、たくさん笑った。

ガハガハと。うるさかったね。


嫌いな鳩に怯えてたね。

ポッポッポッ、鳩ポッポ。

もう歌わないから怒らないでね。


「ありがとう。気を付けて。また遊ぼうね。」

校門で別れたあの時のようにお別れした。

明日も当たり前に会うみたいに。


今日もできた。ほころんだ絆を新調できた。

少し汗ばんだその絆は青春の輝きを放っていた。


今日も遊びに来てくれてありがとう。

お店で食べるプリンはやっぱり違う。

笑顔がこぼれるね。家でも作れるかな。

それでは、また明日。


お粗末様でございました。





Comments


bottom of page